天然砥石にはまる

正直、仕事場で無造作に置かれていた、ゆがみ切った安い人造砥石を思い出す。

 

研ぐのって、興味はあったけど、調理の仕事場であった砥石を使っていた。

 

今思えば、とりあえず、研げまーす、というような、安い砥石。

 

でもよく研げた。

 

ただ、料理長がよく言っておられた言葉がずーっと気になっていた。

 

「天然砥石はすごく研げる、きれいに。 ただ、うちでは高いから使わない」と。

 

いざ、仕事を辞めてしまったが、

 

その言葉は忘れることなく、心に残っていた。

 

ふとヤフオクでみた天然砥石、よくわからないものの、

 

ついに買ってしまった。

 

なぜか集めてしまう。 高いけど、面白かった。

 

ただ、俺のような素人がわかる世界ではないけど、

 

とにかく、気に入った砥石もヤフオクやメルカリ等で売っていった。

 

元値よりも安くなること、高くなること、いろいろだった。

でも、買って買って買いまくる、

 

売って売って売りまくる、ただ、数をこなすだけで、結構砥石のことがわかってきた。

 

正直異常な売買数だ。 

 

気が付けば、年間軽く千件は超えている。

 

そして、今や天然砥石の原石を買って、

 

加工して自分でつくるようにもなった。

 

これが、無心に取り組める、不思議な世界。

 

ダイアモンドでもないけど、磨く作業は本当気分がいい。